2008-05-05

M-net 2008-05-GW Special

責任が取れない者は、トップとなる資格無し

最近、不祥事の事後対策によって顧客の評価や業績が変わっていった企業についての記事を読んだ。要は、

   1.即日対応(スピード)
   2.トップが出て責任を認める(経営者の器)
   3.今後の具体策の明示(問題対応能力)

これが出来た企業は不祥事を乗り越え、顧客の信頼を取り戻して業績を回復したが、これが出来なかった企業は完全に信頼を失い経営の危機を招いたり倒産した、との事であった。
問題が起きた時、ピンチの時こそ、会社の素顔が見える。だから起きた出来事そのものよりも、その後の対応に際して経営者の手腕が問われる。

私自身も経営者であるが、トップの最大の役割は「最終責任を取ること」だと思う。
経営者は1人では出来ないから、人に任せる事も必要になる。私はいつも「社員の失敗では会社は倒産しないので、最後は私が責任をとるから、任せるからやってみて下さい。」と社員に言って仕事を任せるが、何か問題が起きた時は自分に責任が来る事を覚悟でやっている。トップは最終的な責任を取る代わりに、適切な権力を持ち、自ら決断してスピードを持って執行すべきである。
色んな経営者に会う中で、自分で決断し、スピードを持って実行し、最終的な責任は自分で取る覚悟でやっている人の下では優れた人材も育ち、会社も成長していく。

一方、ある会社の次期経営者Aさんは、

   1.上手くいかなかった事を部下や周りのせいにする
   2.出来るだけ多くの賛成を得て決断しようと考えており、
    スピードが遅い
   3.有言不実行で、優秀な人材の信頼を失い、辞職される

こんな人物がトップになっては優秀な社員から離れてしまうし、会社が変革できず、時代に対応出来ないだろう。

欧米には「ノーブレス・オブリージュ (noblesse oblige) 」と言う言葉がある。フランス語で「貴族の義務」「高貴な義務」を意味し、財産、権力、社会的地位には責任が伴うことをさす。

最終責任がとれない者は、企業のトップとなるべきではない。また、本当にトップになるならば覚悟を決め、失敗を恐れずに自ら決断、実行し、全ての責任は自分がとるつもりで人に任せていかなければならない。
Aさんも早くその事に気づき、トップになる前に失敗を含めて色んな経験をして器を大きくし、魅力ある素晴らしい経営者となる事を切に願う。