2003-08-28

M-net 2003-08-28

WhatとHow

 どうやるか(How)と言う事もすごく大切であるが、やっている事が時代に合わなかったり、可能性の小さな事では、いくらどうやるかを考えても限界がある。トップの仕事としては何をするか(What)が最も大切で、この何をするかが正解でなくても、社会性があったり、時代を先取りしていると、努力や工夫のHowが大きく貢献し、大きな成果を得られる。

 先日もある経営者とお会いした折に、その経営者が「どうやって良い物を作るか、作る事に全力を投入している…」と話すが、どうも元気がない。なぜ元気が無いのですか?と質問すると、「その商品が売れない。市場が小さくなっている。競争が厳しい…」私はその経営者に、トップの仕事は「How」(どうやるか)ではなく「What」(何をするか)ですよと話した。

 今時代はHowからWhatやWho(誰がやるか)、Where(どこでやるか)、When(今すぐやるかどうか)にかかっている。担当者の能力が大きくモノをいい、地方でやるか都市でやるか、即決しチャンスを活かす…など。


忘れる

 約束した事や、お願いした事を忘れてしまう人がいる。忘れてはいないが、先送りしているのかも知れない。小さなどうでもいい事を忘れたり、先送りしても問題は少ないが、大きな事や基本的な事を忘れたり、先送りされては非常に困る。困るだけでなく企業の生死に関わる事も多い。
 忘れたり、先送りする人にはある共通点がある事に気づいた。

1. 目標や方針がはっきりしていない。持っていない。つまり問題意識がないか薄い。
常に足元や目先の事など当面の事だけをやっている。計画と実行のチェックが全然無い。

2. 受け身で指示待ちである。
情報を新聞やTVなど一方的に与えられるモノから得て、それで満足している。
自らが提案したり、新しい企画を出したりして、自ら情報発信をしていない。
言われた事、指示された事は一生懸命やるが、それ以上は気づかない。

 どうしたら良いかを少し考えてみた。

 まず①通常よりチョット早く出勤し、今日一日何をしなければならないか計画を立てたり、大切な事は何か、どうしてもやらなければならないものは何か、などを考えたり、目標を立て――、一日実行し、――帰る時もう一度朝立てた計画と結果をチェックしてみると、忘れる事はあり得ない。1週間、1ヶ月、1年も同じである。

 次に、②受け身でなく、自らが新しい事に挑戦したり、1日1つは何か新しいヒント(雑誌や本から、自分で外に出て何かを感じ、いつもとは違う人と話し、何かを気づくなど)を意識的に得て、メモにでも書き残し、マンネリから抜け出し、頭の活性化、つまり脳の活性化を毎日行う。

 そしてラストは、③実行と継続である。さあ、今日から始めよう。


2003-08-18

M-net 2003-08-18

まさかの時代

 8月5日の夕方、主力仕入先の㈱クボタから連絡が入り、クボタの建材事業部と松下電工の外装事業部が今年12月1日をもって合併するとのビッグニュース。明朝の新聞に載るとの事…。
 昨日までの敵と、今日は手を結び一つの会社になる。まさに「まさかの時代」である。住宅業界も成熟産業となり、建材市場でも拡大は望めず、何か新しい道を見つけなければならない。鉄を見ると分かるが、新日鉄と川鉄の2つのグループになり、シェアをお互いに守りながら共存している。住宅業界の中の屋根、外壁、建材マーケットも大手十数社がひしめいている中の第一弾としての強者連合であるが、今後第二、第三の合併もあり得る。

A. そして、まさかの情報に接した時、どうしたら良いか?
まず「その情報の真偽と真意」を確かめなければならないが、人間関係や幅広いネットワークがないと手の打ちようがない。そして確認をした上で関係者にスピーディーに「事実と見通し」を連絡しなければならない。それから当社で予想される「問題点」などを伝えなければならない。「1つのピンチは大きなチャンス」である事も含めて。

思えば今年の春、クボタの幹部の方が当社に訪れた際、「建材業界をどうしたら良いと思いますか?」と質問され、私は本心と冗談を込めて「松下電工さんと強者連合したらいかがですか…?」と話した事があり、幹部の方は黙って話を聞いていた…。
今回の出来事を一つのチャンスととらえ、我々はより強い「屋根工事日本一」とそして「外壁工事日本一」を目指しスピーディーに、そして積極的に対応していきたい。

B. 「変化の時代」に求められるものは何かを考えてみた。
1. 情報力………………オフィシャルな情報とそれを確認する人的ネットワーク
2. 柔軟性………………何が起きても柔軟に対応できる頭と体
3. スピード……………即対応する
4. 差別化(違い)……他社との違いを日頃より明確にしておく
5. 人間力………………要(1~4)は、人間や社員の能力差である。
           人をつくった企業、組織が成長し、勝ち残っていく


働ける事は幸

 ある知人が生活保護(生活困窮者の最低生活保障を国が行う)を受けた。理由は家庭にも問題があり、中高年の為仕事も見つからず、資産も預金も支援者もなく生活が出来なくなったからだ。
 国からの生活保護を受けている人はなんと130万人(人口1億3千万人の1%)、つまり100人に1人いる計算だ。ここ7年間で50万人増えたそうだ。健康で仕事(社会に役立つ)が出来、国や他人に頼らず自立している事がいかに幸せかを知り、様々な事を考えさせられた。

2003-08-08

M-net 2003-08-08

「読む」と「見る(目を通す)」

 ある資料がある。A君にこの資料を読んで下さいと指示する。
 ある資料がある。B君にこの資料を見ておいて下さいと指示する。
 同じような言葉であり、同じような意味であると思うが、全然違う。
 A君にはこの資料をよーく読み、文章の裏や奥にある意味を読み取ってもらい、二人でディスカッションしたいと思っていた。
 B君には参考程度、勉強になるからさっと目を通し、不要なら処分してもいいと思い、見ておいて下さいと指示した。

 TVは見ると言い、読むとは言わないが、新聞や雑誌は読むとも、見るとも言う。
 読むとは内容を理解したり、悟る事を意味する。見るとは眺めたり目で認める事である。
 中には資料や書類を読まないで叱られたり、大切でない資料や書類を多くの時間をかけて読み、無駄な事だと叱られたりして、何がなんだか分からなくなってしまう人もいる。「読む」と「見る」の違いについて記したが、同じようで全然違うこともあれば、違うようで同じ事もある。

 自己中心や自分の価値観だけで判断するだけでなく、チョット相手の立場になって考えてみるとミスもなくなり、無駄も省けて、効率も良く、相手からも高く評価される。ほんのチョットの差が大差となる。


優良企業

 しばらく前に「優良工務店とは何か」と言う講演をした。
 一通り話をして、質疑応答の時間にある人が「話はよく分かったが、一言で言えば優良企業とは何ですか?」との事。どの企業経営者でも「この機械を導入すれば、生産力が3倍になる」「この土地、株を買えば必ず値上がりする」…など、目に見える投資は即実行する。しかし、素晴らしい経営者は「人材の育成」「技術の蓄積」「環境への配慮」「ソフトの開発」など、目に見えないものへの投資をしている。この差が企業間格差となり、今は同じ企業でも将来大差となって表れてくる。目に見えないものへの投資を利益の中からどれだけやっているか否かで決まってしまう…と言う風に話をした。

 今時代は、目に見える差別化をするのは非常に難しいが、人の差やソフト、サービスなど、目に見えない差別化が注目され、企業の優劣を決めている。企業だけでなく人間にも当てはまり、見えない、形にならない差が人の差となって来ている。少しの時間と少しのお金を自分自身の為に投資したい。そして「魅力ある人」となりたい。