2004-03-28

M-net 2004-03-28

トップリーダー

 所用があって中国の10指に入るトップ大学で、広東省広州市にある中山大学と華南理工大学を訪問した。私の友人である、武漢大学の常務理事で副学長の陳さんに紹介して頂いた。
 「21世紀はアジアの時代であり、日本、中国、韓国、ベトナムなどが1つの大エリアとして経済活動をしていき、その時最も必要なものが人材である。一国主義にとらわれずにグローバルに考えられる人材が求められる。その時、教育が最も大切であるが、“教”は大学で教え、私は“育”を中心にします。若い有能な人にチャンスを与えると、人はドンドン育っていきます。特にビジネスは理論ではなく、実践で育ちます。大学と組み、ビジネスのセンスや創業の実験をする場「学生創業塾」をスターとさせませんか。世界で役立つビジネスマンを育てませんか。スペシャリストだけでなく、真のゼネラリストを私や当社と組んでやってみませんか?日本や武漢大学では成功しています…」
「この他に私が大学で授業する事や、杉山種まき奨学金の支給、日本の本の贈呈なども合わせて行います…」

 こんな申し入れに華南理工大学のC副学長(人間味溢れ、大人(だいじん)である)は、「即決でやりましょう。特に学生創業塾はすぐにスタートさせたい」
 一方中山大学のK副学長(頭の良さそうな科学者で英語が非常にうまい)も即座に「一緒にやりましょう。学生創業塾は素晴らしい。指導して下さい…」両校との提携がまとまった。

 二人のトップリーダーは、同席している多くの部下の前で誰に相談するでもなく自ら決断をする。
 これを目の前にして、二人のトップの理解力、情報力、先見力、構築力、そして最後の決断力は実に素晴らしい。わずか30分位の出来事である。
 二つのトップ大学との提携で、新しい人づくりやビジネスチャンスが広東省でも始まる。

 中国では紹介や人脈の重要さがさけばれるが、改めて実感した。又、説明するにも分かりやすいデータや資料の必要性、大切さを再認識し、リーダーの能力や資質によって全ては決まってしまう。


東莞市

 中国広東省に、東莞市(トウガンシ)と言う市がある。固定人口163万人(+移動人口?万人)。広さは日本の2つの県を合わせた位の広さでとてつもなく広い。市全体が工場であり、生産の街とでも言ったら良い。何時間車で走っても工場、工場、工場である。日系企業もいっぱいある。

 1つの日系工場を見学させて頂き、総経理(社長)と話をした。「若い中国人労働者の給与はいくらですか?」「新卒で月340元(日本円で1ヶ月4400円)です」……
 中国と競争する商品では始める前から答えは出てしまっている。恐ろしいと実感した。
 この若い労働者は「働く意義」も「給与はどうして決まるか」も知らない様である。