2004-03-08

M-net 2004-03-08

モノには金を払うが、知識はコピー

 北海道よりわざわざ当社まで来て頂いたお客様がいる。T社である。
 トップと幹部社員二人、計三名で来社して頂いた。
 当社の業務内容や人づくり、ネットワーク化、オリジナルな政策に大変興味を示して頂き、メモを取り、熱心に話を聞いて頂いた。住宅展示場や建築現場をご自身の目で確認して、お茶も試飲して頂き、納得して頂いた。
 最後の詰めの話し合いの時、トップは私に商品の仕切(仕入)はいくらですか?とモノに対してはメリハリのある態度と言葉で話を進めていった。しかしノウハウや技術、やり方などソフトに対しては検討させて下さいとの事で、話が終わろうとした時、同席した幹部のAさんが私に「先程見せて頂いた資料をコピーして下さい…」との事。
 私は全身で拒絶反応が出てしまった。ノウハウやデザイン、システム化された業務方法などは、長年苦労して蓄積されたものである。数多くの失敗を積み重ね出来上がったものが「成功のノウハウ」である。これをいとも簡単にコピーして下さいと言う発想と言葉に大失望し、T社の方々には手ぶらでお帰り願った。

 トップがモノは買うが、ソフト(ノウハウ他)は検討すると言って先延ばしをするようでは、社員も同じである。都合の良い所だけ取って、後はコピーで済ますようなものである。
 モノは形として見えるが、ノウハウや知恵、技術、情報などソフトは形にならないし、目には見えない。これからの社会ではモノだけではなく、ソフトの差があらゆる面に大差となってでてくる。同じモノを扱っても失敗する人と成功する人、同じ市場でも勝ち組と負け組と二極化してくる。この差はソフトや情報、知恵、人の差である。

 商品やモノに差別化がしにくい今、ソフトの差が大きい。残念ながら今の日本ではまだまだソフトを大切にする社会には至っていないように感じた。


94歳の現役

 大学の教授やコンサルタント、技術士、経営士など、知的ビジネスをする人達が集まって勉強会をしている会で、講演を依頼され、拙い話をした。
 上段に座って何やかやを言い、全体を仕切っている人がいた。おそるおそるそのA先生に「お元気そうですが、A先生は何歳になられますか?」と質問した所、「満94歳だ。今日もプールで2km泳いで来た」。目の前に座っている別の先生にA先生が「君はいくつだ」「ハイ、80歳です」「そうか、まだ鼻たれ小僧だ。ワッハッハ」。A先生は77歳で博士論文を通したとの事である。顔もツヤツヤして元気そのものである。私もチョット押され気味であった。それに比べ、今は若い人の方がいまいち元気や活気がない様に思える…。